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湘南理工学舎
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2025/07/24
2020/04/08

 楽しく学ぶ…初歩の数学

 因数分解・因数定理 


(factorization・factor theorem)

 --目 次--
  • ♦はじめに 
  • ♦直感・推測:  ∗例題1\(\ \s{x^2+3x+2}\) 
  • ♦たすき掛け:  ∗例題2\(\ \s{6x^2-x-2}\) 

  • ♦2次方程式の解の公式: 

  • ∗例題3  \(\s{2x^2+8x+6}\)
  • ∗例題4  \(\s{x^2+x-12}\)
  • ∗例題5  \(\s{6x^2+7x+2}\)
  • ∗例題6  \(\s{x^2-10x+25}\)
  • ∗例題7  \(\s{x^2-2x+4}\)

  • ♦判別式による判断  

  • ♦高次式の因数分解 

  • ∗因数分解の公式を使う 
  • ∗式の変形・展開 
  • ∗置き換え 

  • ♦因数定理・組立除法 

  •  ∗例題8  \(\s{x^3+x^2-x-1}\)
  •  ∗例題9  \(\s{x^3+2^3}\)

  • ♦閑話 :数式と幾何の対称性

  • はじめに


     与えられた式をその因数(約数)の積の形に表すことを因数分解といいます。
    また、 式 A を 2つの数 a、b の積で表すとき(\(A=a \times b\))、この a, b はA の因数です。
    簡単な因数分解は次のように共通因数でくくる式です。
    \(ab+ac=\ul{a\ }(b+c)\)
    \(2a^2x+4ax^2\)\(=\ul{2ax}\ a+\ul{2ax}\ 2x\) \(=\ul{2ax} (a+2x)\)
    因数分解とは、次の例のようにある式を因数の積の形に変形することです。
    \(ax^2+bx+c \rightarrow\)\(\b{(x-α)(x-β)}\)
    これから2次式の因数分解の方法を、後半では高次式についてを説明していきます。
    また末尾に公式(一覧)を載せておきます。

    推測・直感 による

    2次一般式 \(ax^2+bx+c \longrightarrow\)\((x+\Box)(x+\triangle)\)の形にする。
    例題1
    \(x^2+3x+2 \) :①
    □=3, △=1 と推定して、与式に因数分解は\( (x+2)(x+1) \) 
    確認: \( (x+2)(x+1)\) \(=x^2+(2+1)x+2\cdot1\) \(=x^2+3x+2 \) 
    この例は□=2, △=1 の2つを決めるだけなので簡単でした。

    たすき掛けによる方法


     2次 一般式 \( ax^2+bx+c \) は 式①と比べ 推定する数が増えるので、一般的に「たすき掛け」方法を使います。
    \( ax^2+bx+c \)を次のように分解します。
    \((Ax+B)(Cx+D)\)\(=ACx^2+(AD+BC)x+BD\)

    以下のA,B,C,D を推定/直感しますが、まずはAとBを推定します。
    「たすき掛け」は下図のようにして考えます。
    因数分解
    それでははじめましょう。
    例題2
    \(\ 6x^2-x-2 \)
    \(\s{(Ax+B)(Cx+D)}\) \(\leftrightarrow\) \(\sc{=ACx^2+(AD+BC)x+BD}\)
    1st:
     まずA=2、C=3と推定してみる。
     (A=1、C=6 だと x の係数項、定数項が成立しません)
    2nd:
     あと,B,Dの値を xの係数項=-1、定数項が=-2 になるような値に決める
     B=1,D=-2となります。
    左側:AとC 中央:BとD 右側:(AD+BC)
    因数分解

    \(\sc{ACx^2+(AD+BC)x+BD}\) \(\rightarrow\)\(\s{(Ax+B)(Cx+D)}\)
    すなわち\((2x+1)(3x-2)\)となります。
    確認: \( =6x^2+(-4+3)x-2\) \( =6x^2-x-2 \)
      

    2次方程式の解の公式により求める。


    2次式 \( y=ax^2+bx+c=0 \ \) について解の公式
     \(\cl{α,β}=\s{\dsfr{-b \pm \sqrt {b^2-4ac}}{2a}} \) \(\quad \sc{❶}\)

    を使うと,以下がその因数分解です。
     \(y=a(x-\cl{α})(x-\cl{β})\)\(\quad \sc{❷} \)

    上の(1)(2)を公式(A)を使って求めてみましょう。

    例題3
    \( 2x^2+8x+6\)
    公式❶を使い
    \(α,β =\s{ \dsfr{-8 \pm \sqrt{ 64-4 \cdot 2 \cdot 6} }{4} } \) \(=\s{ \dsfr{-8 \pm \sqrt {16}}{4} }\) \(=\s{ \dsfr{-8 \pm 4}{4} }\)
    \(α=\sc{ \dsfr{-4}{4} }\)\(=\s{-1}\)
    \(β=\sc{ \dsfr{-12}{4} }\)\(=\s{-3}\)
    \(α=-1,\ β=-4 \)

    公式❷に代入し \(2(x+1)\ (x+3)\)
    \(\therefore(2x+2)\ (x+3)\)

    例題4
    \( x^2+x-12 \)
    公式❶を使い
    \(α,β =\s{ \dsfr{-1 \pm \sqrt{1-4 \cdot 1(-12)} }{2} } \) \(=\s{ \dsfr{-1 \pm \sqrt {49}}{2} }\) \(=\s{ \dsfr{-1 \pm 7}{2} }\)
    \(α=3,\ β=-4 \)

    公式❷に代入し
    \(\therefore (x-3)(x+4) \)

    例題5
    \(\ 6x^2+7x+2\)
    公式❶を使い
    \(α,β =\s{ \dsfr{-7 \pm \sqrt{49 - 4\cdot 6\cdot 2 } }{2\cdot 6} } \) \(=\s{ \dsfr{-7 \pm \sqrt {1}}{12} }\) \(=\s{ \dsfr{-7 \pm 1 }{12} }\)
    \(α=\sc{ \dsfr{-6}{12} }\)\(=\sc{ \dsfr{-1}{2} }\)
    \(β=\sc{ \dsfr{-8}{12} }\)\(=\sc{ \dsfr{-2}{3} }\)

    公式❷に代入し
    \(6(x+\s{\dsfr{1}{2}}) (x+\s{\dsfr{2}{3}}) \) \(=2(x+\s{\dsfr{1}{2}})\ 3(x+\s{\dsfr{2}{3}})\)
    \(\therefore(2x+1)\ (3x+2)\)

    例題6
    \(\ x^2-10x+25\)
    公式❶を使い
    \(α,β =\s{ \dsfr{10 \pm \sqrt{100 - 4\cdot 1\cdot 25 } }{2} } \) \(=\s{ \dsfr{10 \pm \sqrt{0} }{2} }\) \(=\s{ \dsfr{10}{2}}\)\(=5\)
    公式❷に代入し
    \(\therefore (x-5)^2\)

    例題7
    \(\ x^2-2x+4\)
    公式❶を使い
    \(α,β =\s{ \dsfr{2 \pm \sqrt{4 - 4\cdot 1\cdot 4 } }{2} } \) \(=\s{ \dsfr{2 \pm \sqrt{-12}}{2} }\) \(=\s{ \dsfr{2 \pm \sqrt{12}i}{2} }\) \(=\s{ \dsfr{2 \pm 2\sqrt{3}i}{2} }\)
    \(α=\s{ \dsfr{2 + 2\sqrt{3}i}{2} }\)\(=1+\sqrt{3}i\)
    \(β=\s{ \dsfr{2 - 2\sqrt{3}i}{2} }\)\(=1-\sqrt{3}i\)

    公式❷に代入し
    \(\therefore [x-(1+\sqrt{3}i)][x-(1-\sqrt{3}i)] \)

    判別式による判断


     \(\sc{ α,β=\dsfr{-b \pm \sqrt {b^2-4ac}}{2a}} \) \(\sc{ \quad ❶}\)
    公式❶の中の次の式 \(\ul{D}\) を判別式といいます。
     \(\ul{D=b^2-4ac}\) \(\sc{\quad ❸} \)

    \(D\)の値から次のことがいえます:
    1)\(D\gt 0\):実数 (例題3~5) (※)以下詳細説明
    2)\(D=0\) :実数の重根 (例題6)
    3)\(D\lt 0\):複素数 (例題7)

    (※):実数のときの補足:
    実数では無理数の入るので領域を狭める
    因数分解の領域の定義が有理数のとき:
    ⓐ\(D\)が平方数(1,4,9,16…)である。
    ⓑ\(\frac{-b}{2a}\)が有理数\(\frac{整数}{整数}\)である。
    ⓐⓑが成り立つこと。
    判別式【参照先】
    \(x^2-2x+4\)
    例題7 では2次方程式の解は\(1 \pm \sqrt{3}i\)の虚数解でした。
    この与式の曲線は x軸 との共有点を持たない関数です。
    一般に虚数のときには, 因数分解できないというのが一般的です。
    (出題者の意図する範囲(整数,有理数,実数,複素数(虚数))によります)

    高次式の因数分解


     高次式の因数分解は場合により解法する方法があります。
    2次を超える方程式のには「2次方程式の解の公式」ようようなものはありません。
    3次方程式の解の公式は一般的ではありませんが、あることはありますが、かなり複雑・特殊なので…対象から外します。
    5次方程式は存在しません。

    因数分解 (末尾) の公式一覧を使う方法

    --時間に余裕の方にはよいですね--
    例1:\(x^3+8\) のとき \(x^3+2^2\) に変形すれば, 以下の公式が使える。
    「公式 \( x^3+a^3\) \(=(x+a)(x^2-xa+a^2)\) 」

    式の変形・展開で解く方法

    例1:\(\cl{x^3-2x^2 } \clb{ - 9x+18}\)
    \(= x^2\ul{(x-2)}-9\ul{(x-2)}\) \(= \ul{(x-2)}(x^2-9)\) \(= \ul{(x-2)}(x+3)(x-3)\)

    例2:\(x^4-2^2\) :この式を複2次式と呼ぶ
    xの次数が偶数のみで構成される多項式のこと
    因数分解できる期待が高い。
    次のように\(\s{(αx)^2-(βx)^2}\)の形に持ち込む。
    手慣れた手法となるが,「\((2x)^2\)を足して引く」
    \(=\ul{x^4-(2x)^2+2^2}-(2x)^2\) \(=(x^2-2)^2-(2x)^2\)
    この式は和と差の掛け算になる
    \(\s{(A)^2-(B)^2=(A+B)(A-B)}\)
    \((\ul{x^2-2}+2x)(\ul{x^2-2}-2x)\)

    置き換えの方法

    例1:\(x^4-2x^2-15\)  :複2次式
    \(=X^2-2X-15\) \(=(A-5)(A+3)\)
    A→x に戻す
    \(=(x^2-5)(x^2+3)\)

    因数定理と組立除去


    因数定理【参照先】    組み立て除法【参考先】

    因数定理とは:
    \(f(x)=a_1x^n+a_2x^{n-1}\cdots a_{n-1}x+a_n\)について
    多項式\(f(x)\)は\(f(a)=0\)となるとき\((x-a)\)の因数をもつ。
    すなわち、\(f(a)=0\)なる a を探せば、多項式は\((x-a)\)で割り切れる。

    参考) 因数の見つけ方

    \(a=\pm \frac{定数項 a_n の約数}{最高次 a_1 の約数}\)\(\ \sc{:❹}\)
    例:\(a_n=3, a=2\)のとき, \(a=\frac{3の約数}{2の約数}\)
    因数は次の候補のいずれかといわれている。
    \(a=\pm 1, \pm 3, \pm \frac{1}{2}, \pm \frac{3}{2} \)

    さっそく求めてみよう
    例題8:\(f(x)=x^3+x^2-x-1\)

    式❹を使い(直感でもよい)
    \(f(a)=0\)となる a を探すと\(a=-1\) である。
    これより因数は \((x+1)\) である。
    \(f(x)\) は\((x+1)\) で割り切れる。

    \((x^3+x^2-x-1)÷(x+1)\)
    除算→組み立て除法の結果【参照先】より
    \(=x^2+2x+1\) \(=(x+1)^2\)

    \(\therefore f(x)=(x+1)(x+1)^2\)

    例題9:\(f(x)=x^3+2^3\)

    \(f(a)=0\)となる a を探すと \(a=-2\) である。
    これより因数は \((x + 2)\) である。
    除算→組み立て除法の結果【参照先】より
    \( \frac{f(x)}{(x+2)}=(x^2-2x+4) \)

    \( \therefore x^3+2^3=(x+2)(x^2-2x+4) \)

    最後に公式を載せておきます。

    因数分解の公式

    1. \( a^2+2ab+b^2=(a+b)^2 \)
    2. \( a^2-2ab+b^2=(a-b)^2 \)
    3. \( a^2-b^2=(a+b)(a-b)\)
    4. \( x^2+(a+b)x+ab\) \(=(x+a)(x+b)\)
    5. \( acx^2+(ad+bc)x+bd\) \(=(ax+b)(cx+d)\)
    6. \( x^3+a^3\) \(=(x+a)(x^2-xa+a^2)\)
    7. \( x^3-a^3=\) \((x-a)(x^2+xa+a^2)\)
    8. \( x^3+3x^2a+3xa^2+a^3\) \(=(x+a)^3 \)
    9. \( x^3-3x^2a+3xa^2-a^3\) \(=(x-a)^3 \)
    10. \( x^4+4x^3a+6x^2a^2+4xa^3+a^4\) \(=(x+a)^4 \)
    11. \( x^4-4x^3a+6x^2a^2-4xa^3+a^4\) \(=(x-a)^4 \)
    12. \( a^2+b^2+c^2+2ab+2bc+2ca\) \(=(a+b+c)^2 \)
    13. \( a^3+b^3+c^3-3abc\) \(=(a+b+c)\) \((a^2+b^2+c^2-ab-bc-ca) \)
    14. \( a^4+4b^4\) \(=(a^2+2ab+2b^2)(a^2-2ab+2b^2) \)
    15. \( x^n-a^2=\) \((x-a)(x^{n-1}+x^{n-2}a+x^{n-3}a^2\) \(+ \cdots +x^2a^{n-3}+xa^{n-2}+a^{n-1}) \)
    16. \(x^n-1=(x-1)\) \((x^{n-1}+x^{n-2}+x^{n-3}\) \(+ \cdots +x^2+x+1) \)
    17. \(x^4+2x^3a+3x^2a^2+2xa^3+a^4\) \( =(x^2+xa+a^2)^2 \)
    18. \( x^3+(a+b+c)x^2\) \(+(ab+bc+ca)x+abc\) \(=(x+a)(x+b)(x+c)\)


    coffe

    [コーヒーブレイク/閑話]…お疲れさまでした

    数式と幾何の対称性


     上記の因数分解の式を見ると綺麗な対称性(symmetry)のある式が多いですね!
    例えば上の\( x^3+3x^2y+3xy^2+y^3=(x+y)^3 \)は綺麗な対称性の形です。
    対称式とはx と yを入れ替えても変わらない式のことです。
    幾何学的な対称性、粒子構造の対称性、結晶構造の対称性(雪の結晶)など様々ありますが、自然科学にはまことに綺麗な対称性のものが多いのには驚かせされます。
    幾何学の対称性とは物体の形や位置を変えない動かし方(変換)、またはある変換に関して不変である性質。(円、正方形、球など)
    新しく発見された素粒子の構造の発見はその対称性から証明されたそうです。