対数(特に常用対数)は身近なところで広く, 多くに使われています。
具体的に 電力比、電気・電子回路の利得(ゲイン)、電話・無線LANの減衰、音の大きさ、騒音計,振動加速度,地震のマグニチュードなどに使われています。
対数が使われる理由として以下が考えられる:
・人間の感じ方は対数的である。
(ウェーバー・フェヒナーの法則)
…人間の感覚は刺激の強度の対数に比例する。
・桁数が小さくでき,幅広い表現が容易である
…電圧比100,000に対し\( \to \sc{L=20log10^5}=100\) ですむ。
各分野により定義,規定が様々あることに注意。
以下はテーマの概略であり対数を中心に述べいきます。
1)電子・電気一般
回路の利得(ゲインとも言う:入力と出力の比),通信系の電力の減衰など次のように表される。
\(L=10\ log_{10} \frac{P_2}{P_1}\) (dB)
注:このように物理量(\(P_2\))と基準となる量(\(P_1\))との比を 常用対数によって表した単位をデシベル(dB:decibel)という。
(\(log_{10}\ x=log\ x\)のように 以降, 底の10は省略する)
電力は電圧の2乗に比例すること, 電圧測定の簡易性により, 一般に電圧比を使った定義が使われる。
\(20\ log (\frac{V_2}{V_1})\)
(\(\because 10\ log \left( \frac{V_2}{V_1} \right)^2\) \(=20 log \frac{V_2}{V_1}\))
デシベルは2つの量の比較する
相対レベルだが, 電圧比の基準1Vと決めると, 任意の電圧をデシベルで表現でき,
絶対値レベル値とみなせる。このデシベルの単位を \(dBV\) と表す。
\(V_v=1V\) のとき 下式より \(x=0\ dBV \) である。
\(x=20\ log\ \frac{V_v}{1}=20 log\ V_v \) (\(dBV)\)
電圧比の基準\(1uV\)のときのデシベルの単位を \(dBu\) で表す。
\(V_u=1uV\)のとき下式より \(0\ dBu\) である。
\(x=20\ log\ \frac{V_u}{1}=20 log\ V_u \) (\(dBu)\)
2)通信系の電波,光ファイバーの信号等の信号の強さ
出力比の基準1mWとしたときデシベルの単位を\(dBm\)で表す。
\(x=10\ log\ \frac{P_m}{1}=10 log\ P_m \) (\(dBm)\)
\(P_m=1mV\)のとき \(0\ dBm\) である。
同様に出力比の基準の 1nW,1uW, 1W,1kW を考える:
\(1nW=10^{-6} mW,\ 1uW=10^{-3}mW\ \) \(,\ 1W=10^3mW,\ 1kW=10^6mW\)
となるから, 各単位を dBm と比較すると:
\(x=10\ log P_n\) \(\ul{dBn}\) \(\ \to 10\ log 10^{-6}=-60\ \ul{dBm}\)
\(x=10\ log P_u\) \(\ul{dBu}\) \(\ \to 10\ log 10^{-3}=-30\ \ul{dBm}\)
\(x=10\ log P_W\) \(\ul{dBW}\) \(\to 10\ log 10^{3}\p{0} =\ 30\p{0} \ul{dBm}\)
\(x=10\ log P_k\) \(\ul{dBK}\p{0}\)\(\to 10\ log 10^{6}\p{0} =\p{0} 60\p{0} \ul{dBm}\)
★\(10^{-6}~10^{+6} が -60 dBm~60 dm\)で表せる
3)音の大きさ
人間が聞く音は空気中の大気圧の微小な圧力変動波によるもの, そしてその変動波の実効値を音圧と言います。
音圧はパスカルPaの単位で示し, 人間は20uPa~20Paの広い範囲の音を聞き分けられます。
(標準大気圧は約\(1000\ hpa=1000\x100\ pa\))
音の大きさを示すのは音圧デシベル
\(L_p=10\ log\ \frac{P^2}{P_0^2}\) (\(dBm\))
\(P_0:基準音圧,\ P:測定音圧\)
また, 人間は音の周波数により感じ方は変わる(1000Hz付近で最高)ので, 騒音計では測定音に対し周波数重み
をつけています。(低い周波数と高い周波数帯域では感度が低くなっている…これをA特性という)
A特性の騒音計のデシベルは:
\(L_p=10\ log\ \frac{P_A^2}{P_0^2}\) (\(dBm\))
\(P_A:補正付きの音圧データ\)
4)地震とマグニチュード
震度はその場所の地震のゆれを表し,震度は(0,1,2,3,4,5弱,5強,6弱,6強,7)の10段階に分類されています。
同じ地震でも観測した場所によって震度は異なります。
震度とゆれの程度は
【震度階級関連解説表】を参照。
震度と地震の大きさ示すガル(gal)は下の
※【補足説明】を参照
これからメインテーマである
マグニチュードについて説明します。
マグニチュードMは地震そのものの⼤きさ(エネルギーE)を対数で表した値で次式の関係式があります。
\(log\ E=4.8+1.5M\)
\(M=\frac{1}{1.5}(log\ E-4.8)\)
マグニチュードが1大きくなるとエネルギーはどうなるか
\(log\ E_1=4.8+1.5\x \ul{1}=4.8+1.5=6.3\) \(\ ∴E_1=10^{6.3}\)
\(log\ E_2=4.8+1.5\x \ul{2}=4.8+3.0=7.8\) \(\ ∴E_1=10^{7.8}\)
\(\frac{E_2}{E_1}=\frac{10^{7.8}}{10^{6.3}}=10^{1.5}=31.6\)
M が1 大きくなるとE は31.6倍大きくなる。同様に計算してM が0.1 大きくなるとE は1.4倍になる。
以下の大地震のデータを記載しておきます。
阪神淡路大震災:平成 7年 1月17日
平成 7年 1月17日午前 5時46分、
淡路島北部震源とするマグニチュード7.2の地震
東北大震災:平成23年3月11日
宮城県牡鹿半島の東南東沖130(km)を震源とするマグニチュード 9.0の地震
宮城県栗原市で震度7で、宮城・福島・茨城・栃木の4県震度6強
※ 【補足説明】
地震の大きさ加速度(gal)に比例し, 加速度の単位ガルは\(1gal=1cm/s^2\)です。
重力の加速度は\(980(gal)=980cm/s^2\)
加速度 \(α=Aω^2=A(2\pi f)^2\):振幅Aと周波数f の2乗に比例
周期T と各速度ω の関係 \(T=\frac{2\pi}{ω}\)
震度と加速度について
【震度と加速度】参照。
(同じ震度でも周期により加速度が異なります)
…終わり